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今回はEvertone Projectのアップワード・エクスパンダー・プラグイン【Evertone Expander】の紹介です!
多分、当ブログ初の国産プラグインだと思います。
マニュアル読むのめっちゃ楽でした。
エキスパンダーはダイナミクスの幅を拡張するプラグインで(コンプとは逆ですね)、スレッショルド以下の音を減衰させるものと、スレッショルド以上の音を増強させるものがありますが、EVERTONE EXPANDERは後者のアップワード・エキスパンダーというやつになります。
時間的なゲインの変化、つまりエンベロープをいじる系(ダイナミクス系)エフェクトのお仲間ですが、このプラグインは他のエキスパンダーと決定的に違う点があります。
それは、このプラグインには専用の物理エンジンが搭載されていて、拡張をかけるときのカーブを加速度をベースとした音楽的に自然なものに自動でしてくれるところです。
なんで加速度が音楽的になるのか、というのは本編の方で触れていますが、簡単にグルーヴを感じるノリのいいサウンドや抜けの良いサウンドが作れるようになるチートプラグインと思ってOKです。
個人的には去年発売されたNewfangled Audioの【Articulate】以来の衝撃で、早くも手放せないプラグインの一つになりました!
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目次
EVERTONE PROJECTとは?
※このセクションは同社のEVERTONE COMPRESSORとまったく同じですので、そちらですでにお読みになられた方はスルーしてください。
音(主にエンベロープ)に力学(主に加速度)の理論を応用するという画期的なアプローチが出発点をなっていて、元々はそれを体現したピックアップを開発するために立ち上げられたプロジェクトみたいです。
その後、その理論をギター以外にも応用できるようにと開発されたのが物理エンジンを搭載したEVERTONE PLUGINシリーズということになります。
EVERTONEの歴史
公式WEBサイトに、着想から理論の構築、開発までのアツい想いと歴史が綴られています。
かなりのボリュームですが、音楽をやっている方には非常に興味深い内容となっておりますので、ぜひ読んでみてください。
原理自体は非常に納得のいくものでした。
私はプラグインを使う前にこのアツい長文を読みましたので、正直言うと「ハードル上げすぎてないか?」とちょっと心配になりましたが、実際に使ってみると何ら大袈裟ではなかったですね。
それくらい現在のワークフローに大きな影響を与えるような、破壊力のあるプラグインだと思います。
なぜ加速度が重要なのか?
声や楽器が物理現象なのは言わずもがなだと思いますが、音楽の中でもリズムやグルーヴといった部分は特に加速度が密接に関わってきます。
わかりやすいところでは、ドラマーのスティックや指揮者の指揮棒の動きを見れば簡単に加速度を感じることができると思います。
リズムには加速度があり、加速度があるから人はタイミングがわかり、タイミングがわかるからリズムが取れるというわけです。
簡単な実験としては、誰かに等速度で手を叩いてもらい、それにタイミングを合わせようとしてみるとものすごく難しいのが分かるでしょう。(ま、等速度で叩く方が難しいかもですが)
逆に武術の世界なんかでは、タイミングを悟られないようにタメをなくしたり等速度で動いたりといったことを練習したりするみたいですね。
音楽ではもちろん、一緒に弾く人や聴いている人がタイミング(リズム)を取れないといけませんので加速度というのが重要になってくるわけです。
そして、それはプレイヤー動きのような目に見えるものだけでなく、楽器やスピーカーの振動など、あらゆるところで働いていますので音楽の根幹をなす要素なのです。
それが音のエンベロープとして反映されるはずが、レコーディングの段階で空気などを介することにより弱まってしまうため、加速度を考慮したプラグインで成形しなおそうというコンセプトなのでしょう。
EVERTONE EXPANDER の特徴と機能紹介
本プラグインの最大の特徴は、F=maの運動方程式を基にした物理演算エンジンです。音響信号を質量として扱い、加速度成分を電気エネルギー変換に応用することで、従来にない自然で音楽的なエキスパンション効果を生み出します。
これまでの機械的なエンベロープ成形とは一味も二味も違うぜ!ってことですね。
メインパラメーター

- THRESHOLD・・・スレッショルドを超えた値がレシオ分拡張されます。
- RATIO・・・どれだけ拡張するかの比率。大きい値ではピークレベルでの保持時間も長くなります。
- ATTACK・・・信号がスレッショルドを超えた際、拡張始めるまでの応答時間。
- RELEASE・・・信号がスレッショルドを下回った際の戻り時間。
- HOLD・・・ピークを保持する時間。0でバイパス。
- KNEE・・・値が小さいとハードニー、大きいとソフトニー。ダブルクリックするとパラメータ設定が設計上最適なレンジに入ると光って知らせてくれるモードになります。
- RANGE・・・最大拡張幅を制限。
- TILT・・・ATTACK、HOLD、RELEASEの3つのパラメータを一括制御。
- HPF・・・サイドチェイン・ハイパスフィルター。
- STB・・・複数のパラメータをワンノブで制御しながら安定性を保つように作用するスタビリティコントロール。

ATTACK、RELEASE、HOLDにはNOTE GRID機能(横の三つのボタン)があり、スライダーをBPMに基づいた音符単位のステップ式に切り替えることができます。
ディレイなんかでSYNCボタンを押すとms単位からノート単位になったりするアレみたいなものです。
Dがドット(付点音符)でTはトリプレット(三連符)となっております。
また、BPMに対してオススメのパラメータ値を自動で設定してくれるアシスト機能(NORMALかADVANCEDの2種から選べます)も付いています。

さらに、オーバーな補正をしない堅実なオートゲインや、突然のゲイン変化によるフェードイン効果やクリップを防止するSafety機能、RANGEの増加とOUTPUTの減少をリンクさせるRANGE LINKなどの便利な機能も色々付いていますよ。
F=ma物理制御モード
加速度特性の異なる3つの物理モードとスタンダードなエキスパンションから選べます。

- Standard・・・標準的なエキスパンション。
- Light・・・低加速度による繊細で控えめな拡張効果。
- Medium・・・中加速度によるバランス型、汎用性の高い設定。
- Heavy・・・高加速度による強力でダイナミックな拡張効果。
なので、普通のアップワード・エキスパンダーとしても使えます。
また、以下の二つのパラメーターも物理モードの値に影響を与えます。
- FORCE・・・物理演算における「力」の強度を制御し、ダイナミクス処理における加速度の概念を積極的に加えることを可能にする。
- DAMPING・・・物理系の減衰特性を制御。1では通常の減衰、1000では瞬間的なカットオフ効果を得られる。
推奨設定は FORCE 1.00, DAMPING 1, HOLD 0 で、純粋な物理法則設定になるみたいです。
基本的には自動で音楽的にいい感じにしてくれるのが売りですが、あえて極端な設定にして積極的なシェイピングをするという使い方も想定されています。
ディスプレイ
視認性の良いディスプレイも非常に使いやすいですね。

CPU
CPU負荷はめちゃくちゃ軽いです!

エクスパンダーではありませんが、軽いでお馴染みPro-C2と比べてもほとんど変わらないくらいですので、気兼ねなくトラックに挿していけますよ。

さらに、20MBちょいという今時珍しい容量の軽さも見逃せません。
ストレージにもCPUにもめちゃくちゃ優しいです。
参考動画
まとめ
エンジニアが中心となり、めっちゃこだわって制作されたみたいですので、ちょっとした使いやすい工夫が随所に見られます。
ゼロレイテンシーで使えるので、かけ録りできるのも嬉しいポイント。
物理エンジン搭載!っていうコンセプトだけを聞くと何やら飛び道具感が漂っているかと思いますが、中身は超実用的なプラグインです。
これまで複数のプラグインを組み合わせて経験的に作られていたエンベロープを自動で作ってくれるという、かなりマニアックなコンセプトのプラグインと言えるでしょう。
とはいえ、困った時の秘密道具みたいなものではなく、日常的にトラックにガンガン挿していける系のプラグインですので、「もっとノリを良くしたい」「音抜けを良くしたい」「音に張りを持たせたい」など、色々な場面で使えますよ。
コンプレッションが過度にかかっているサンプルのダイナミクスを復活させる、みたいな使い方もオススメです。
今後、業界のスタンダードになっていく可能性を十分に秘めたプラグインだと思いますので、ぜひみなさんもチェックしてみてくださいね!
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