よく「クラシックギターが弾ければエレキも弾けますか?」という質問を受けますが、そんなことはありません。
もちろん役にたつことも沢山ありますが、基本的には別ものと考えていいでしょう。
音楽的に違う
この二つは楽器的にもテクニック的にも違いますが、大きな違いはやはり音楽です。
エレキで本格的なクラシックをやるなら別ですが、通常はロックとかポピュラー系の音楽をやりますよね。
これが実際は思っているよりクラシックとは違うのです。
ですので、クラシック音楽が上手なほど逆にポピュラー系のリズムやフレージングに慣れるのが大変になってしまうことがあります。
(ポピュラーからクラシックも同じですが。)
クラシックの中でも特にギターの方はポピュラー系の音楽を演奏したり教えたりする機会が比較的多いと思いますので、真逆と言ってもいいこの様式の違いを知っておいた方がいいと思います。
クラシカルな演奏?
例えば、ロックギタリストがバッハやモーツァルトをよくロック弾きしていますよね。
クラシックの様式からはかけ離れちゃっていますが、クラシックの音楽家がいつもの感じでポピュラー音楽を演奏しているのはそれと同じことなのです。
ロックなバッハがアリなようにクラシカルなビートルズもアリだと思いますが、「クラシック風に」弾いているという感覚は持っていた方がいいでしょう。
クラシックとポピュラー系の違い
では、クラシックとポピュラーはどう違うのでしょうか?
細かく説明するのはブログでは難しいのでざっくりと見ていきましょう。
ルーツの違い
まず、そもそも音楽のルーツが違います。
クラシックが教会音楽からスタートしヨーロッパをベースに発展したのに対して、ポピュラー音楽は黒人系の音楽をベースにアメリカを中心に発展しました。
もちろんクラシックの影響も受けていますが、ベースとなるものが違うのでクラシックは基本になりません。
では、ポピュラー音楽の基本は何かというと「ブルース」です。
基本的なフレージングやノリはブルースがベースになっていますので、ソルフェージユはブルースを基本にやった方がいいでしょう。
(まあ、一口にポピュラー音楽と言っても実際には無数のジャンルがあり、それぞれ特徴が違えば弾き方も違いますが。)
リズムの違い
では、音楽的にはどの辺が違うのかというと、
リズム的な部分では、強拍の位置が違います。
強拍がクラシックと違いウラにくるウラノリというやつで、巷に流れている音楽の大半がこれになります。
「じゃウラにアクセントをつければいいのね!」というわけではありません。
クラシックもひたすら強拍にアクセントつけたら変ですよね。
これはノリとかグルーブ的な(クラシックだとアゴーギグ的な)部分であって、これによってリズムのサイクルが大幅に変わります。
たまに聞く「ポピュラー系の音楽はリズムを揺らさずカチカチ弾く」というは迷信ですので気をつけましょう。
フレージング
もう一つ大きな違いは、フレージングです。
上でも書いたロック弾きクラシック、もちろんクラシック的には不自然なフレージングですがロック的には自然なフレージングなのです。
オペラ歌手がロックを(ナイトウィッシュとかは例外)、ロック歌手がオペラを歌っているのを想像してみましょう。
そんな現象が起きているわけです。
楽器ですと、音やフレージングの違いはサックスなんかが分かりやすいですかね?
クラシック奏者とジャズ奏者で同じ曲を聴き比べてみると面白いと思いますよ。
ま、色々書きましたが弾き方のルールというわけではありませんので、「ふ〜ん、そんな違いがあるのか〜」くらいのテンションで大丈夫です。
聴いたり弾いたりする時にそんなことを思い出してみるとまた違った発見があって面白いと思いますので、色々聴いてみてくださいね。